2025年01月01日
地価動向 国土交通省より令和6年都道府県地価調査が公表されました。本調査は、不動産鑑定士が全国47都道府県の21、436地点について調査し、鑑定評価した令和6年7月1日時点の価格に基づいて判定しています。
全国の地価動向
令和6年地価調査の概要によると、全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇幅が拡大又は上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が強まっている。
住宅地の特徴としては、
○低金利環境の継続などにより、引き続き住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続している。特に、大都市圏の中心部などにおける地価上昇傾向が強まっている。
○人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムに加え、移住者用住居などの需要が増大し、引き続き高い上昇となった地点が見られる。
○鉄道新路線等の開業による交通利便性の向上などを受け、上昇幅が拡大した地点が見られる。
商業地の特徴としては、
○主要都市では、店舗・ホテルなどの需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることなどから、地価上昇が継続している。
○外国人を含めた観光客が回復した観光地では、高い上昇となった地点が見られる。
○都市中心部付近では、マンション需要との競合により、引き続き高い上昇となった地点が見られる。
○再開発事業等が進展している地域では、利便性や賑わいの向上への期待感などから、地価上昇が継続している。
その他の特徴としては
○大手半導体メーカーの工場が進出する地域では、関連企業も含めた従業員向けの住宅需要のほか、関連企業の工場用地や店舗等の需要も旺盛となっており、住宅地、商業地、工業地ともに高い上昇となっている。
○eコマース市場の拡大による大型物流施設用地等に対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好な工業地では、引き続き高い上昇となった地点が見られる。
○令和6年能登半島地震被災地をはじめ、災害で大きな被害を受けた地域では、地価が大きく下落している。
圏域別・用途別対前年平均変動率
(単位%)
地域 | 用途 | 住 宅 地 | 商 業 地 | 工 業 地 | |||
年度 | R5年 | R6年 | R5年 | R6年 | R5年 | R6年 | |
全国 | 0.7 | 0.9 | 1.5 | 2.4 | 2.6 | 3.4 | |
三大都市圏 | 2.2 | 3.0 | 4.0 | 6.2 | 4.5 | 6.0 | |
東京圏 | 2.6 | 3.6 | 4.3 | 7.0 | 4.7 | 6.6 | |
大阪圏 | 1.1 | 1.7 | 3.6 | 6.0 | 4.5 | 6.3 | |
名古屋圏 | 2.2 | 2.5 | 3.4 | 3.8 | 3.5 | 3.5 | |
地方圏(四市) | 7.5 | 5.6 | 9.0 | 8.7 | 12.6 | 14.1 | |
地方圏 | 0.1 | 0.1 | 0.5 | 0.9 | 1.9 | 2.4 |
福井県の地価動向
福井県の地価は、全用途平均で△0.6%と前年の△0.8%からやや下落幅が縮小している。
住宅地の特徴としては、福井県全体で27年連続の下落となったが、商業施設が充実する利便性や住環境の良い地域を中心に土地需要が堅調であったことから、下落幅は△0.7%と前年の△0.9%からやや縮小している。
特に福井市では横這い地点が前年の13地点から12地点に減少し、上昇地点が前年の13地点から15地点に増加したことから、上昇傾向が強まる形となっている。ただ、人口減少や高齢化が進んでいる市町、特に大野市や勝山市などでは△2%台の下落を続けていることが特徴となっている。
商業地の特徴としては、北陸新幹線県内延伸によるビジネス客や観光客の増加と駅前再開発などの影響を受けて福井駅や敦賀駅周辺の地価の上昇が続いており、福井県全体で32年連続の下落となったが、下落幅は△0.4%と前年の△0.8%からやや縮小している。特に福井市の商業地では、北陸新幹線県内延伸による駅利用客の増加と福井駅前電車通り北地区市街地再開発事業A街区ビル(フクマチブロック)と福井駅中商業施設(くるふ福井駅)の開業による利便性と賑わいの向上から、+1.2%と前年の+0.6%から上昇基調を強めている。ただ、繁華性が低下している既存商店街等では依然地価下落が続いている。
工業地の特徴としては、福井県全体で+1.3%と前年の+0.4%から上昇基調を強めている。福井県内の生産活動は緩やかに持ち直しつつあり、地価は全体的な割安感から概ね横這いから上昇傾向にある。県内企業の令和5年度の企業収益は増益見込みとなっており、北陸新幹線県内延伸や中部縦貫自動車道全線開通に向けて、県内に進出する企業が増加している。